ACFFとは

う蝕は、世界のいたる地域で依然として多発し続けています。WHOによると、世界人口の35%に相当する24億余りの人々が永久歯のう蝕に罹患しており、数ある疾病の中で最も罹患率が高い状況です。このような現状に対して、2010年に国際非営利組織として発足したAlliance for a Cavity Free Future (ACFF) は、「2026年以降に誕生する子供たちは生涯をとおしてう窩を作らない」を地球規模でのゴールに設定し、その活動は世界に広がっています。

ACFFの基本ポリシーは、カリエスフリーではなくキャビティーフリー、すなわち、う窩のない未来を目指しています。そこでは、う蝕病変の脱灰と再石灰化というダイナミックな挙動を意識しつつ、う窩の撲滅を実現可能なゴールとして設定しています。ACFFの特徴は、地域ごとにチャプター(支部)を設立し、地域のう蝕の特性を正確かつ詳細に把握して、関連する団体の参加を促し、それぞれの地域が臨床的、経済的さらには心理的にも受入れやすく、継続できる方策を立てることを推進していることです。

ACFFの目標

ACFFは、グローバル・チェアマンであるKing’s College LondonのNigel Pitts教授のリーダーシップのもと、ブラジルで2010年9月に開催されたFDI World Dental Congressにて公式に発足し、以下の4つの大きな目標を設定して活動を展開しています。

目標 1: 2026年以降に生まれるすべての子どもは、生涯にわたってキャビティーフリーを達成すること

目標 2: 地域のチャプター開設3年以内に、その地域の90%の歯学部および歯科医師会が、より良いう蝕の予防とマネジメントを実践するために、「生涯にわたる疾患としてのう蝕」へ新しいアプローチと、その背景にある考え方を受け入れること

目標 3: ACFF と地域のチャプターは、口腔と全身の健康との関連を視野に入れつつ、国内および国際的なう蝕の不均衡を是正するために幅広い組織と協力して活動すること

目標 4: 2020年までに、ACFFの地域のメンバーが一体となって、包括的かつ地域に適したう蝕予防およびマネジメントのシステムと、それをモニタリングする取り組みが浸透する環境を整えること

ACFFの初期の活動と展開

最初のACFFチャプターは、コロンビアで2011年5月に発足しました。まもなくメキシコ、ブラジル、ベネズエラがそれに続き、ラテンアメリカ以外での最初の支部は、2012年11月に中国で発足しました。その後の2年間で、ACFFは急成長し、2014年末までに5カ国のチャプターが発足しています。そして、2018年2月には、日本支部が 27番目のチャプターとして登録され、それぞれの地域の人々の口腔保健の増進に取り組むだけでなく、ACFFのグローバルな目標を達成するために、地域で一丸となって活動しています。

各チャプターは、歯学教育のリフォームから公共放送を通じたメディアキャンペーン、さらには小学校でのハンズ・オン・クリニックに至るまで、それぞれの地域で重要なプロジェクトを展開しています。またACFFは、歯学教育が「生涯にわたって続く疾患としてのう蝕」という概念を含めた新しいカリオロジーカリキュラムにシフトするために、世界各国の歯学部の教育者と学生とともに幅広い活動を続けています。